Qt Simulator 1.2 の新機能

この記事は Qt Blog の "Qt Simulator 1.2: What’s new?" を翻訳したものです。
執筆: Oliver Wolff, 2011年9月1日

私は Qt Simulator の開発を行っているメンバーの一人である Oliver Wolff です。この度リリースされた Qt Simulator 1.2 の新機能の概要を簡単に紹介させてください。

ユーザからの要求だけでなく私たち自身も感じていたことですが、より簡単で直感的に改善すべき箇所がありました。1.2 のリリースでは主に三つの改善を行いました。

シミュレーションデータの設定ウィンドウにはさらに多くのカテゴリを追加し、その UI を組み立て直す必要があることにも気が付きました。いくつかのデザインを試してみて、最終的にすべての設定を柔軟でサイズが大きくならないように構成できる手法にたどり着きました。各カテゴリの有効・無効を切り替えることができ、必要な設定だけを表示させることができます。さらに、 "Simulate" と "Application", "View" に分かれていたカテゴリをまとめてすべて同じレベルに配置したので、設定ウィンドウはツールボックスのように期待通りの動作をします。

その他に要求の多かった機能としてはアプリケーションでのマルチタッチ操作のシミュレーションです。最初は Qt Simulator で動いているアプリケーションにホストからタッチイベントを転送できるようにしました。しかし、マルチタッチ対応のディスプレイはまだまだ普及していませんので、Qt Simulator でマルチタッチポイントアクションを使えるようにするには別の方法が必要でした。その結果、Qt Simulator の "mouse input mode" が変えられるようになりました。デフォルトでは単にマウスからの入力として振る舞いますが、 "pinch" や "pan", "swipe" 等のジェスチャーをシミュレーションするモードにも変えられます。さらに Qt Simulator のスクリプトエンジンを使って、もっと複雑なジェスチャーを追加することも可能です。独自のジェスチャーは Qt Simulator が "Free mode" の時に入力可能で、ディスプレイやマウスの位置(スクリプト内では input.mouseX/Y を使用)に応じて動作します。

三つ目の新機能は Qt Simulator の設定ウィンドウに独自カテゴリを追加できるようになったことです。そのためには、カスタムオプションの項目か、(設定ウィンドウの幅全体を使うようなものであれば)ウィジェットを作成する必要があります。クライアントとプラグイン間の通信は Qt SDK でオプションコンポーネントとしてインストールされるサポートライブラリを通して行われます。

これらの結果は Qt SDK のリリース記事 で紹介している最新の Qt SDK をダウンロードして確認できます。

上記の改善以外にも、日々のバグ対応ももちろん行っています。他にも Simulator に関して何かあれば、(英語版の記事 で)コメントするか、バグ報告や提案を bugreports.qt.nokia.com で行ってください。


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